お地蔵さんブログ

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酒粕地蔵(三明寺)

酒粕地蔵」という珍しい名前を持つお地蔵さんを知っていますか?

このユニークな名称の背後には、人々の信仰心と、歴史的発見が息づいています。
日本には「三明寺」という寺院が複数存在します。
この記事では異なる地域にある三明寺に伝わる「酒粕地蔵」の物語を紹介したいと思います。

 

静岡県沼津市酒粕地蔵

最初に静岡県沼津市の三明寺に伝わる「酒粕地蔵」の伝説を紹介しましょう。

貧しいお里の物語

昔、駿河の国香貫の村に、お里という名の貧しい少女が住んでいました。
両親の温かい愛情に包まれて幸せに暮らしていましたが、ある年、村に疫病が流行し、高熱と全身の赤い湿疹に苦しむ人々が次々と命を落としました。
貧しいお里の家も例外ではなく、出稼ぎに出ていた父親、そして看病していた母親までもが、相次いでこの世を去ってしまいます。
みなしごとなったお里は、村人の助けを得ながら、かろうじて日々を過ごしていました。

親孝行の願いと酒造りへの挑戦

月日が流れ、両親の命日が近づく中、お里は亡き両親のために法事を行いたいと強く願います。母親が死ぬ間際に「お父さんが好きだったお酒をつくって、村人に売ればいいのだけれど……もとでがないねえ」と話していた言葉を思い出し、法事のためのお金を稼ぐため、酒造りを決意します。
村人たちは、お里の親孝行な心と正直な働きぶりを知っていたため、少しずつお金を貸してくれ、中には「お里さんの孝心にあげる供養だよ。返さなくてもいいからね」と恵んでくれる人もいました。こうして集まったお金を元手に、お里は米や瓶を買い込み、両親の見よう見まねで酒を仕込み始めました。

奇跡の出来事と「酒粕地蔵」の誕生

酒が今にも出来上がろうとしていた大切な時、お里は沼津に住む病気の叔母の見舞いに出かけます。叔母の病気を案じて看病に尽くしましたが、その間、三日三晩にわたる豪雨で川止めとなり、家に戻ることができませんでした。
ようやく帰宅したお里が台所へ飛び込むと、そこには酒のしぼりかすが山のように積まれ、その中には光るお金が散らばっており、瓶は全て空っぽになっていました。
隣の百姓に話を聞くと、「青い帽子をかぶった小さいきれいな人」が代わりにせっせと酒を売っていたというのです。不思議に思ったお里が、両親の代から信仰していた仏壇のお地蔵さまの扉を開けると、なんとそのお地蔵さまの手が酒粕にまぶれていたのです。お里は、お地蔵さまが代わりに酒を造り、売ってくださったのだと悟り、ひれ伏して感謝しました。その後、お里の酒は評判となり、「お地蔵さまがしぼってくださる」との評判が広がり、遠方からも人々がお参りに来るようになりました。
いつしか、そのお地蔵さまは「酒粕地蔵」と呼ばれるようになったと伝えられています。

 

三明寺のウェブサイトの「酒粕地蔵」の説明はさらに詳しく書かれているので、関心があればぜひお読みください

 

沼津市の三明寺は、元々沼津市本郷町にあった瑞眼山光明院が、2002年に門池へ移転し改称された寺院です。
この寺の御本尊は、室町時代足利尊氏が奉納したとされる沼津市有形文化財の「酒糟地蔵菩薩です。
境内には、伝説の地蔵菩薩が鎮座し、訪れる人々にその物語を今も伝えています。

 

胎内仏の発見

2007年、三明寺で修復が進められていた本尊「酒粕地蔵」(像高67センチ)の内部から、胎内仏(高さ約9センチ、体幅約5センチ、厚み3.5センチ)と木製の胎内札が発見されました。
この地蔵像は室町時代末期に制作されたとみられ、山梨県有形文化財に指定されています。CTスキャンによる検査で内部構造が確認されたことで、この発見に至りました。

 

胎内札に記された「信玄」の文字

胎内札の表面には墨で文字が書かれており、その内容が注目を集めました。
そこには、戦国時代の武将である武田信玄が乱入した時に傷ついたものだと書かれていたのです(甲州大守の武田信玄が乱入)

 

名称の由来の裏付け

この発見により、寺に伝わる「酒粕地蔵」という名称の由来が、実際に酒粕が補修に使われたという事実によって裏付けられたと寺側は見ています。
平林住職は、「武田信玄公が甲斐(かい)の国の国司である時、中国地方から国司が使いを出している。この国司がここに来て、地蔵様を壊してしまったという。これを修復した際に酒粕を使い、接着剤のように固めたとあり、そのことがこれまでの伝承であった酒粕地蔵の名称の由来が判明した」と語っています。

 

三明寺の基本情報

三明寺は曹洞宗のお寺で、山号愛鷹山
沼津市本郷町にあった瑞眼山光明院が2002年に当地に移転した際に名称を愛鷹山三明寺と改めました
本尊は酒糟地蔵菩薩

 

三明寺へのアクセス

静岡県沼津市大岡4051

 

 

 

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