谷中霊園の一角にある天王寺は緑に囲まれ、静かな環境に恵まれています
文化財も多く歴史のある天王寺とその近くで見つけたお地蔵さんを今回は紹介したいと思います
【目次】
山門
向唐門
天王寺の基本情報
天王寺は天台宗のお寺で、山号は護国山、院号は尊重院。
開山は日源、本尊は阿弥陀如来
上野王子駒込辺三十三ヶ所観音霊場9番札所にもなっています
天王寺の歴史
天王寺の歴史は、鎌倉時代後期に日蓮が関小次郎長耀の屋敷に宿泊した事が発端となります。
その際に日蓮に帰依した関小次郎長耀は草庵を作り、弟子の日源が法華曼荼羅を勧請して開山したとされています。
当時の宗派は日蓮宗でした。
室町時代には、目黒碑文谷の法華寺(今の天台宗円融寺)から日耀が転住、中興してから永らく栄えました
- 1641年(寛永18年)徳川家光・英勝院・春日局の外護を受け、29,690坪の土地を拝領し、将軍家の祈祷所となります。
- 1698年(元禄11年)江戸幕府より邪宗として改宗を命ぜられ、天王寺は天台宗となりました。これに反抗した住職の日遼は八丈島へ島流しになってしまいます。
寺の存続を望んだ輪王寺宮公弁法親王が慶運大僧正を天台宗1世として迎え、毘沙門天像を本尊とした。なお祖師像など日蓮宗関係の品々は瑞輪寺に引き取られました。
その後本尊は阿弥陀如来と改められましたが、この毘沙門天は谷中七福神の1つとして篤い信仰を集め、今日に至ります。
また慶運大僧正はのちに長野善光寺を中興した人物としても知られています
- 1700年(元禄13年)寺門維持のため幕府から富くじの興行を許され、目黒不動・湯島天神とともに「江戸の三富」に数えられて大いに賑わいました。富くじは1842年(天保13年)に禁令が出されるまで続けられました。
- 1833年(天保4年)中山法華経寺の日啓らが当山を再び日蓮宗とする運動を展開。しかしこの運動は輪王寺宮舜仁法親王の働きにより日蓮宗帰宗は中止、これを機に長耀山感応寺から現在の護国山天王寺へと改称されます。
- 1868年(慶応4年)戊辰戦争に際し毘沙門堂(当時の本堂)以下諸堂宇が焼失。
- 1874年(明治7年)寺域の一部を東京府に移管、移管した土地は現在の谷中霊園となった
- 1957年(昭和32年)谷中五重塔放火心中事件により、五重塔を焼失(文豪幸田露伴によって書かれた小説「五重塔」はこの五重塔のことです)
- 1961年(昭和36年)毘沙門堂落成、この毘沙門堂は炎上した五重塔の焼け残った下層部が使われています。
- 1982年(昭和57年)現本堂ならびに書院を再建。
- 1998年(平成10年)講堂・客殿・新山門が新築、現在の姿となる。
本堂
天王寺で行われている主な行事
1月1日 | 修正会 |
1月1日~10日 | 谷中七福神めぐり(毘沙門天) |
1月初寅 | 初寅毘沙門天護摩供 |
2月3日 | 節分会 |
2月初午 | 初午稲荷供養 |
2月15日 | 涅槃会 |
3月春分 | 春彼岸中日法要 |
4月8日 | 花まつり |
5月15日 | 日蓮宗歴代供養 |
6月4日 | 山家会 |
7月13日 | 迎え盆法要 |
7月16日 | 送り盆法要 |
7月20日 | 施餓鬼会 |
9月秋分 | 秋彼岸中日法要 |
10月20日 | 地蔵まつり(『地蔵経』読誦) |
11月24日 | 霜月会(大師粥) |
12月8日 | 成道会 |
12月31日 | 歳末法要 |
そのほかにも、2~12月の各3日には毘沙門天護摩供、毎月20日に法話会、毎月第4土曜に仏像彫刻会、毎月30日に写経会が行われている
やはり気になるのは地蔵祭りですね、今年は日曜日が該当するので、予定が合えば参加してみたいと思います
天王寺の著名な建造物
- 天王寺五重塔跡(東京都史跡)
- 塩谷宕陰の墓(東京都旧跡)
- 田安宗武墓(8代将軍吉宗の次男、松平定信の父)
- 大橋訥庵墓(坂下門外の変で老中安藤信正を襲った人物)
- 朝倉文夫墓(明治時代の彫刻家)
- 牧野富太郎墓(植物学の大家)
- 木造毘沙門天立像(台東区指定文化財)
- 旧感應寺(天王寺)富興行関係資料(台東区指定文化財)
- 絹本着色両界曼荼羅(台東区登載文化財)
- 絹本着色阿弥陀二十五菩薩来迎図(台東区登載文化財)
- 絹本着色天台大師画像(台東区登載文化財)
- 村垣淡路守範正墓(遣米副使)
ひときわ目立っている銅造釈迦如来坐像、像高は296cmあります
日蓮宗だった時代の1690年に建立されました
境内の中にはお地蔵さんを見つけることができました
学童守護のお地蔵さん(台座には学童の姿が刻まれています)
天王寺へのアクセス
東京都台東区谷中7-14-8 JR山手線・京浜東北線・常磐線 日暮里駅南口より徒歩2分
東京メトロ千代田線 千駄木駅1番口より徒歩15分
京成本線 日暮里駅より徒歩2分
天王寺の脇の祠にお地蔵さんをみつけました