川越にはまだ風変わりなお地蔵さんがいます。
以前の記事では川越さつまいも地蔵尊を紹介しましたが、広済寺という曹洞宗のお寺には虫歯や歯痛に霊験がある「あごなし地蔵尊」そして咳きや喘息に効果があるとされている「咳(しわぶき)地蔵尊」があります。
広済寺の基本情報
広済寺は天文17年(1548)に当時の川越城主・大道寺政繁が建立し、広庵芸長師が開山した曹洞宗のお寺です。
地蔵の他にも門には天狗の羽うちわが刻まれています。
これはかつて古木が生い茂っていたお寺の周辺の杉の老木に天狗が住んでおり、火事になると羽うちわを使って火を消してくれるという言い伝えがあるからなのだとか。
山門
本堂
本堂は、寄棟造・桟瓦葺の風格ある建物となっています。
寺号標
広済寺のお地蔵さん
無腮地蔵尊(あごなし地蔵)
あごなし地蔵はその名の通り、あごがないという珍しいお地蔵さん。
歯痛治療を願った地蔵は全国にたくさんあります。
腮がないから歯痛もない。歯痛治療を願う故に腮を欠いて建てたと言うのが大筋の理由です。
古くは小野篁(802~852年 平安初期の漢詩人、歌人、参議等)が遣唐使渡航失敗や拒否で隠岐に流された折、思いを寄せた人の歯痛平癒のため建てたと言われています。
治癒礼として、「あごなし地蔵さまへお願いすると治ります。」という仮名まじり金釘流の文字で書いた張り紙を貼ったそうです。
歯痛祈願する習俗は島根・新潟・岐阜・長野・神奈川等に多く、この地蔵尊は全国異称地蔵一覧 日本寺院名鑑地」に明記されていますが、制作年代等の詳細は不明です。
以上境内の掲示板より引用しました。
お咳(しわぶき)地蔵尊
咳(しわぶき)地蔵尊は地蔵と銘打っているものの、正確には石仏みたいです(もはやお地蔵さんの原型ないですもんね)
しわぶきとは咳の古い言葉で、縄で縛って願かけをして願いが叶ったら縄を解いてお茶やお菓子などをお礼として供えます。
江戸の初め上州厠橋の浪人が北町(喜多町)に住んでいました。
ある夜異様な気配を感じて帰宅し、不思議に思い部屋を見ると片隅に三尺程の石仏らしきものがあったそうです。
翌朝俗家に置くのは如何と思い、石仏を広済寺に納めました。数日後、風邪や喘息で長患いの豪商綿屋の娘が石仏に霊感を感じ、荒縄を巻き付け百日間の願掛けをしたところ、百日も経たずに全快しました。
お礼にお茶と入り豆を納めたそうです。この話が近隣で評判となり、風邪・百日咳や咳の病の時には、縄で石仏を縛りお参りするとご利益があり、病が治ると縄をほどき、お茶と入り豆、明治以降は金平糖をお供えしたそうです。
こちらも境内の掲示板から引用しました。
お地蔵さんのある広済寺は蔵造りの町並みのはずれにあり、ここまで来ると観光客の姿もかなり少なくなります。
広済寺へのアクセス
川越市喜多町5-1
最寄り駅:東武東上線・JR川越線 川越駅より徒歩25分、西武新宿線 本川越駅より徒歩18分
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